まちの保育園 まちのこども園

考え方

わたしたちの理念

まちの保育園・こども園の、「わけない豊かさ」

まちの保育園・こども園は、
子どもを真ん中にした、「まち」のコミュニティです。
子どもたちを囲むように、家庭と、保育者がいます。
地域でくらし、はたらく人たちがいます。
想いでつながっていく、社会・世界の人たちもいます。
子どもも、大人も、ここで、共に育ち、学び、
共に生活しています。

私たちの信念は、
違いを大事にしながら、「わけない」こと。

一人ひとり。
市民として、子どもも、大人も。
あらゆる知識。
あたま・こころ・からだ。
教えるひと、学ぶひと。
地域・社会と、園・学校。
ひと・いきもの・しぜん・ちきゅう。
こちらとあちら。世界。

この「わけない豊かさ」は、
日々子どもたちが、私たちに届けてくれたりします。

まちの保育園・こども園は、
そんな、子どもと大人、「まち」のための、
コミュニティの場であることを目指しています。

子どものイメージ

子どもが持つあらゆる「言葉」をじっくり聴くと、いつも新鮮な発見があります。「子ども」をどうイメージするか。それは、私たちにとって大切で、心を惹きつける「問い」です。なぜなら、子どもたちは、いつも、私たちの想像を超えて、自らの豊かさを届けてくれるからです。この子どもの豊かさは、子どもと私たちコミュニティの関わりと共にあって、私たちのまなざしを育みながら、さらに子どもが自らの力を引き出すことに繋がっていきます。

「創造」をたのしむこと

子どもたち自らの表現、考え、アイデア、言葉には大きな価値があります。私たちは、子どもたちが、関わりや探究を通して、「知を自ら構築していく」ことを大切にしています。知を構築することは、子どもたちの日々の「創造」と共にあります。子どもたちにとって、知や経験を自分のものにすること自体が、「創造」なのです。「創造」をたのしむ環境をつくること。それが、いつも、私たちの、挑戦とよろこびがあるテーマになります。

コミュニティの参加と、「まち」の保育

子どもの学び・育ちに、コミュニティが参加することを大切にしています。子どもにとって、周りにいる私たちが、何よりの環境と思うからです。そして、私たちの考えは、コミュニティの範囲に「まち」を含むことです。「まち」は、生きた学びで溢れています。人格形成期の子どもたちが、人と心をかわし、場に出かけ、文化に触れ、人生やあらゆる世界の魅力に出会いながら、日々を充実したものにして行って欲しいと願っています。

育て方

まちの保育園・こども園のキーワード

理念・哲学編

まちの保育園・こども園の保育理念

一人ひとりの存在そのものを喜び、互いに育みあう、コミュニティを創造する

1.一市民としての子どもの尊重
子どもが一市民として歓迎され、その権利を尊重され、また、現在を最もよく生き、より良い未来を作り出す力の基礎を培う。

2.子ども時代の“いま”を豊かにする家庭との連携
子ども時代は「準備期」ではなく、人間性の土台を築くため、それ自体が意味を持つ人生最初の段階であり、
それを豊かなものとするために、保育者・保護者が連携する。

3.子どもも地域も生きるコミュニティの創造
子どもは社会・文化の中で育つ。地域の資源や文化を子どもの社会参加にいかし、充実・発展させる。
保育園・認定こども園を拠点として地域のつながりを強め、地域全体の福祉や家庭支援につなげる。

一市民としての子どもの尊重

まちの保育園・こども園では、「例外なく、全ての子どもが、可能性豊かで、有能な学び手である」ことが信じられています。一人ひとりが、市民として尊重され、その権利が守られ、大切な「乳幼児期」を充実したものにできるように、園のコミュニティは責任を持ちます。そして、同時に、私たち大人も日々を一緒に楽しむこと。子どもにとって、それも大事なことだと思います。ここでは、子どもも大人も、主人公です。

子ども時代の”いま”を豊かにする家庭とのパートナーシップ

まちの保育園・こども園の子どもの保護者は、コミュニティの中心にいる参加者です。子どもを真ん中に、園と保護者が連携して「子どもの育ち」を支えることを大切にしています。日々、ご家庭からは子育ての考え方、家庭での子どもの様子を聞かせていただき、園からは積極的に子どもの育ち・学びの姿、保育の考え方、その意味について発信していきます。
また、日頃は、保護者と園とがゆっくりと語り合う時間をとりにくいことから、様々なイベントなどを一緒に企画し開催するなどして、経験を共有しています。保護者が楽しんで参画していることは子どもにも還っていく。これまで私たちの園の活動は、自分の子どもだけでなく、ほかの家庭の子どもの成長も一緒になってよろこび合える保護者の方々との関わりに支えられてきました。
園は、まるで大きな家族のように、みんなでみんなの育ち(それは子どもに限らず大人もですが)をよろこび合える、そんな場であるように感じています。

子どもも地域も生きるコミュニティの創造

「社会で子どもを支えていく」「教育はコミュニティの責任である」というと難しく聞こえるかもしれませんが、子どもたちの豊かさを地域のいろいろな人に届けていくことで、地域の人たちから返ってくるものが沢山あるように関じています。まち全体を「学びのフィールド」と置くと、子どもたちの社会参加のレパートリーが豊かになります。子どもたちの学びに直接的に返ってくることもあれば、大人たちが出会い、関わり合うことで結果的に社会づくりやまちづくりに繋がっていくことも。
子どもはよく大人の姿を見て育っていきます。子どもたちに願うこと、作っていってほしい社会を、まず自分たちが作っていくことが大事だと感じています。
コミュニティに開き、地域の人、社会の人に関わってもらうことは、子どもだけでなく、大人のウェルビーイングにとっても、良い影響があるのではないでしょうか。「孤」育てをされている方、高齢者の方、地域に関わってみたいと思っている若い方…もしかすると何か園としてできる糸口があるのではないかと思っています。

学びのパートナーとしての保育者

子ども達の学びに伴走していくのが保育者であり、その学びを充実させるための資源は、保護者や地域の人々といった、まちのコミュニティのなかにもあると考えています。私たち大人は、例えるならば、「道の歩み方」を教えるのではなく、あらゆる「道の存在」を子ども達に共有したり一緒に見つけていく人。子どもが、周りの子ども・大人、環境、文化、社会などと関わりながら、自らの学びを深めていくことに前向きに取り組めるよう、学びのプロセスの手助けをするパートナーとしての存在でありたい。そのように、思っています。

共創編

学びのコミュニティのためのネットワーク

まちの保育園・こども園は、子どもの環境を”共創する”社会のネットワークと学び、行動しています。「VUCA」(不安定、不確実、複雑、曖昧)が急速に進む世界に直面する中で、いま、子どもたちの学びのあり方も変容しています。知識の量から、知識の活用に教育の重心は移り、世界でも日本でも教育改革が進んでいます。また、脳科学・赤ちゃん学・追跡調査など様々な研究から乳幼児期の重要性が再認識され、乳幼児期の学び・育ちの環境についての議論が進んで来ています。また、保育・教育を開き、社会と学びを深めていく必要性も感じています。大きな責任も伴いますが、歴史的な挑戦のときでもあります。そのためにまず私たちはコミュニティと共にありたいと思います。そして、大学等研究機関、世界の教育機関、技術を持つ企業、科学者、クリエイター等のネットワークを持ち連携・協働しながら、いま、目の前の子どもたち、そして、園のコミュニティについて、何が最善かを考え、子どもたちと園をつくり続けていきたいと考えています。

Cedep

東京大学大学院教育学研究科(附属発達保育実践政策学センター/Cedep)と、『保育・教育・研究交流連携事業に関する協定』を締結しています。
この協定は、研究者と実践者が共に手を取り、保育・教育や、学校及び保育所・幼稚園・認定こども園等が、社会・まちづくりにおいて新たな価値を創造していくことを目指しているものです。
保育の質の追究、“コミュニティに開かれた学びの場(CCLC)”の共同運営、発達保育実践政策学に関わる統合的研究、子育て・保育に関わる専門職の職能開発を共同で行っています。これまでに、協力園として研究に参加したり、コミュニティコーディネーターの養成講座を共同開催したりしてきました。
0~6歳の成育環境や就学前教育が、個人や、社会および国全体に与える影響も報告され、乳幼児期の重要性の認識は世界的にますます深まってきています。この連携によって得られた知見をいかして、社会的に意義のあるイノベーションを起こし、保育・教育・子どもの育ちに貢献していきたいと考えています。

レッジョ・エミリア・アプローチ(レッジョ・チルドレン)

レッジョ・エミリア・アプローチは、北イタリアレッジョ・エミリア市でかたちづくられ、1990年代にアメリカ版ニューズウィーク誌に世界で最も先進的な乳幼児教育として取り上げられたことを発端に、教育界で高く評価されている教育アプローチです。レッジョでは、「教育はすべての子どもの権利であり、コミュニティの責任である」と定義されており、専門的に様々な理論や教育思想を土台にしながらも、コミュニティの中で子ども自らが主体的に学ぶ、豊かな保育がなされています。さらに、保育環境やこどもたちの姿が創造的で美しいため、保育・教育関係者のみならず、まちづくりの観点からも、魅了される人は後を絶ちません。
私たちはレッジョ・チルドレンの主催する国際ネットワークに加入し、日本の窓口として、展覧会・シンポジウム、研修ツアーの企画、書籍の出版・翻訳等を行うほか、加入している各国と学び合っています。
まちの保育園・こども園はレッジョから多くのインスピレーションを受けていますが、レッジョ教育をそのまましているわけではありません。レッジョ教育は、コミュニティが大切にされるため、国民性や文化が異なれば、保育内容は変わってくるからです。私たちは、”イタリアのレッジョ教育”をやるのではなく、”まちの保育園の保育”を実践しています。しかし、こども観やコミュニティ観においては、共通の理念を持っています。
レッジョにおいて「こどもとは、その可能性において豊かであり、有能で、力強く、大人や他の子どもたちとの結びつきの中で生きる存在」とされています。ここが、私たちが深く共感しているところです。まちの保育園でも、そういったこども観を皆で共有し、一層豊かなものとして育んで行ければと思っています。

まちのアライアンス

保育において、一人の保育者が自らの資質を高めてこどもに向き合うことも大切ですが、様々な保育者の視点でこどもを捉えることが、より深いこどもの理解につながりやすいように、この「まちぐるみの保育」や「子どもを中心としたまちづくり」「子どもがこれから生きる、新しい社会のあり方」も多様な法人が様々な角度から見つめることで新たな視点が生まれ、そこでの学びが、保育・乳幼児教育の質の向上を超えて、豊かな社会づくりにつながると考えています。「まちのアライアンス」は、こどもの環境やコミュニティづくりについて、共に学び、実践を深めていける学びあいのネットワークです。

環境・実践編

コミュニティコーディネーター

まちの保育園・こども園では、各園に「コミュニティコーディネーター」(CC)という専任職員を置いています。こどもの興味・関心に寄り添いながら、地域とこども・保護者・保育者の橋渡しする役割です。地域との共存関係を築きながら、こどもを真ん中に、子どもたちに様々な人格・才能との出会いや経験を持ってもらえるよう、保育者と連携を取って環境を整えて行きます。
地域との出会いには二つへの方向性があると私たちは考えています。
ひとつは、こどもから。保育の中でこどもが出会ったらよさそうな、おもしろそうな人、施設を、こどもから聞いたり、保育者と共に想像し、人や施設との出会いをつくります。
もうひとつは、地域から。地域の声をひろい、こどもや保護者につなげることもあります。地域どうしをつなぐことも期待されています。
取り組みは正しさよりも、おもしろさで。まずはやってみるという心を持って。
なにより、自分がわくわくすることがよき橋渡しになると考えています。

地域に開かれた場の存在

私たちの園には、どの園にも入り口に、カフェなど、コミュニティに開かれ、交流を支える場があります。これらの場は、園内外のコミュニティをつなぐ、中間領域として機能しています。子ども・保護者の皆様・保育者のコミュニティで使う場であり、地域に開く場でもあります。
ここでの出会いが、子どもたちに豊かな学びの機会をもたらしてくれることが多々あります。
また、まちづくりにおいては、若い世代の参加に課題を抱える地域が少なくない中、園・学校の特性は、保護者を中心とした、地域の若い世代をつなぐことにあると思います。これからの社会で、園・学校が、まちづくりの中核となって、地域にできることに、私たちは大きな可能性を感じています。

ドキュメンテーション

ドキュメンテーションとは、写真や文章(時に動画も。)を用いながら、子どもたちの学びを記録したものです。
何を学んでいるか、どのように学んでいるか。子どもたちの学びの過程は、この「ドキュメンテーション」という記録で、子どもとコミュニティに可視化され、共有されます。
私たちのコミュニティでは、「ドキュメンテーション」で子どもの学びの世界に触れ、子どもの学びを応援し、ときに学びにかかわったりしながら、子どもの理解を深めていきます。そして、学びが充実していくために、各々が「参加」することが自然なかたちで推奨されています。

アトリエ

学ぶことは、創造することと同義語であり、常に「関係性」(もの、人、場との関係性)の中にあるという信念を持っています。この考えのもと、まちの保育園・こども園のアトリエは、園全体のアイデンティティ形成の場であり、個人もしくは小グループでの創造活動を支えます。粘土や絵の具、ハサミ、筆、紙、自然物、デジタルツール…。様々なものを揃え、子どもたちが興味を持ったものについて、自ら探究・探索し、創作活動を広げていくきっかけをつくります。
アトリエは表現・挑戦の場でありますが、何より、人の心を動かし、たのしく、愛があり、常に人を惹きつける存在であることが、理想だと思うのです。

コミュニティに開かれた学びの場

「まちのこども園代々木公園」のエントランススペースに「The Children and Community Learning Center」(通称CCLC)を開設しました。”こども・子育て家庭と教育実践者並びに、コミュニティのためのまなびの場”として、展示会場・研修施設・リサーチセンター・コミュニティセンターとしての役割をもっています。

まちの保育園のまなびの場

「まちのこども園 代々木公園」のエントランススペースに、”こども・子育て家庭と教育実践者並びに、コミュニティのためのまなびの場”として「The Children and Community Learning Center」(通称 CCLC)をオープン。ご興味のある方はこちらを御覧ください。

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まちの研究所は、「子ども・保育・教育領域」と「コミュニティづくり、まちづくり領域」の融合から、新たな価値の創造を目指している会社です。

まちの研究所ウェブサイトへ

JIREAは、レッジョ・エミリア・アプローチのため組織として、広く、日本でレッジョを学び合うネットワークをつくったり、レッジョ(あるいは、レッジョがネットワークしている世界の国々)と日本の架け橋となることを目指しています。

JIREA(Japan Institute for Reggio Emilia Alliance)ウェブサイトへ

まちの保育園 六本木 分園の軒先にある、サンドイッチ、ドリンク、本が買える小さなお店です。「食は広く人をつなぎ、本は深く人をつなぐ」という言葉のもと、保育園と地域をつなぐ中間領域として、地域に根ざした・地域の方がつながりあえるお店を目指しています。

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